1. JapanStep TOP
  2. 世界を舞台に戦う研究者は、なぜ生まれたのか【連載】越境スピリット~世界で輝く日本人
  3. 逆境をバネに夢を形に。17歳シブジョの挑戦 【連載】NEXT GEN~原石たちの挑戦

2026.03.20

逆境をバネに夢を形に。17歳シブジョの挑戦 【連載】NEXT GEN~原石たちの挑戦

若き挑戦者たちの発想と行動の背景に迫る連載「NEXT GEN 原石たちの挑戦」。今回お話を伺ったのは、渋谷女子インターナショナルスクール 2年生の石井愛梨さんだ。石井さんは、2025年、同校で初めて開催した校内ビジネスコンテストで最優秀賞を獲得。17歳にして自身のファッションブランド立ち上げという起業への道を歩み始めた。「夢は叶うものなので絶対に捨てないでいてほしい」。石井さんの力強い言葉には、幼少期の逆境を乗り越え、道を切り開いてきた確かな熱量と哲学が宿る。(文=JapanStep Media Project プロデューサー長谷川浩和)

お話をうかがったのは

渋谷女子インターナショナルスクール 2年生
石井愛梨さん

2008年生まれ。渋谷女子インターナショナルスクール(通称シブジョ)の2期生。同校の第1回校内ビジネスコンテストで最優秀賞を受賞。アパレルブランド「ALEUM(アルム)」の事業化に向けて準備を進める。
テーマパークなど「人種を問わず笑顔があふれる場所」が好き。

逆境の中で芽生えた「服作り」への熱情

現役女子高生の17歳。渋谷女子インターナショナルスクールに通う石井愛梨さんは、素敵な笑顔が印象的で、語り口は10代らしく軽やかだ。2025年、同校で開催された校内ビジネスコンテストで最優秀賞を受賞。アパレルブランド「ALEUM(アルム)」(今後名称変更の可能性あり)の事業化に向けて準備を進める石井さん。夢の実現に向けて走る石井さんだが、これまで歩んできた道程は、決して平坦なものではなかった。その逆境こそが、現在の石井さんの原動力となっている。

東京で生まれ、1歳で両親が離婚。物心がついたときには、祖父、母、兄と暮らし、父の顔も知らないまま育った。
「母子家庭なので、金銭面での余裕があまりなくて……。昔は自分の意見を言うタイプではありませんでした。ただ、周りに合わせて安心するというよりも、どこか冷静に状況を見ていました。例えば、保育園に通っていた時、同級生が遊んでいる姿を見て『何が楽しいんだろう』という感覚もありました。意味を考えてしまう、というか。大人が理不尽に怒ったときも、『私は悪くないのに、なぜ怒られているんだろう』と疑問が先に立ってしまう」(石井さん)

 石井さんのその個性は、やがて痛みに変わった。小学校1年生から6年生まで、いじめが続いたという。殴る蹴るのような暴力ではない。スマホが当たり前の時代。いつの間にか仲間外れになっている。心の逃げ道が見つからなかった。金銭面での余裕がなかったため、中学1年の終わり頃までスマホを持てず、連絡手段はキッズ携帯のみだった。周囲がLINEやTikTok、YouTubeを共通言語にする中で、話題についていけないこともあった。

そんな石井さんが小学校4年生の頃、夢が芽吹いた。最初はモデルに憧れた。
「ファッション誌を自分のお小遣いで買い、毎月購読していました。ただ、モデルのYouTubeを見ているうちに、徐々に気持ちが変わってきました。私は食べることが大好きなので、食事制限など過酷な状況は自分には無理だなと思って(笑)。でもファッション誌を読んでいるうちに、『自分が服を作って誰かに着てもらう』側も楽しいかも、と思うようになったんです」(石井さん)

そんな石井さんが、中学卒業後の進路で選んだのが渋谷女子インターナショナルスクール(シブジョ)という新しいタイプの教育機関だった。
「好きだったYouTuberの『くれいじーまぐねっと』が表紙を飾っていた学校のパンフレットに目に留まりました。校長先生である元『egg』編集長の赤荻瞳さんが、シブジョのPRのために原付で日本一周している姿も追っていました。自分の性格を考えたときに、一般的な全日制高校よりもシブジョがあっている、と思ったんです」(石井さん)

シブジョで開花した“事業化”の覚悟

渋谷女子インターナショナルスクールは、株式会社MRAが運営し、英会話、動画制作、SNS運用といった次世代のビジネスシーンに不可欠な実践的スキルを体系的に学びながら、高等学校卒業資格を取得できる通信制サポート校だ。

「国語や数学といったいわゆる一般的な5教科に縛られず、ファッションやビジネス、英語など、自分自身の血肉となる意味のある学習に専念できるのは本当に楽しいです」(石井さん)

 その決意を形にする最大の舞台となったのが、2025年9月に開催された同校初の「ビジネスコンテスト」だった。このコンテストは、「英会話・動画・SNSのいずれかに関係し、始動から6ヶ月以内に100万円の売上または100人のユーザー獲得を目指す」という実践的なテーマが設定されていた。もともと石井さんは「数回ある選考のうち、1回でも通ればいい」という軽い気持ちで臨んでいたという。しかし、初期のプレゼン発表の場で、一つ学年が下の後輩が別ジャンルで極めて高いレベルのビジネスプランを提示しているのを目の当たりにし、スイッチが入った。
「後輩でもここまでやれるんだ。ここで本気でやらなければ一生後悔すると思いました」(石井さん)

 ビジネスコンテストには、アドバイスする講師がつくが、その講師からも自分が変わるきっかけとなるアドバイスをもらえたという。
「最終プレゼンまでに何度かチェックしてもらうのですが、私はもともと、本番に100%になるように最初は60%、次は80%と徐々に完成度を上げていけばよいと思っていたんです。ただ、講師の方から『最初から100%の力を出し切り、それに対する容赦ないフィードバックを得ることで、最終的なアウトプットを120%にまで高めることができる』と教えて頂き、考え方が大きく変わりました。プレゼンが独りよがりにならないよう、親や友達に自分のプランを聞いてもらい、ダメ出ししてもらったり、AIも活用したりもしました」(石井さん)

その結果、石井さんが提案したファッションブランド「ALEUM(アルム)」は、見事に最優秀賞の栄冠に輝いた。地域・ブランドの現場を知るプロフェッショナルが審査員として並ぶ中で、石井さんのプランは最優秀賞に選ばれた。

「正直、受賞の瞬間は喜びというよりも頭が真っ白になりました(笑)。受賞した翌日、受賞時に頂いたパネルを眺めながら、『自分が考えたプランや思いが、大人たちに届いた』という嬉しさや達成感を感じましたね」(石井さん)

誰だって「今」が一番若い!

会員登録されていない方は、下記よりご登録ください。
登録後、ログイン頂くとお読みいただけます。