2026.11.05
頭上高くそびえるコンクリートの壁面を見上げるとき、そこに潜む微小な亀裂や剥離のリスクを日常的に意識することは少ない。しかし、高度経済成長期から半世紀以上を経て老朽化が進む日本のインフラにおいて、外壁落下の危機は目前に迫る切実な脅威だ。安全を守る要の一つが、壁を叩いた音と手応えから内部の異変を判別する「打音点検」である。しかしこの手法は、危険な足場やロープに身を委ねる過酷な高所作業を伴う。何より職人の「耳と手の感覚」に依存してきた。担い手不足が進む今、個人の勘に頼る現場をいかに客観データで標準化し、命の危険から人を解放するかは、インフラ維持を巡る切実な命題である。そこにドローンと接触センシングを融合させた新たなアプローチが動き出した。2026年8月、福島県田村市に本社を置く株式会社manisoniasの実証計画が、横浜市の「TECH-PoC」に採択。壁面吸着式ドローンとMEMS加速度センサーを用いて熟練者の打音判定をデータで代替できるか、検証する試みが進められている。(文=JapanStep編集部)
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