2026.05.26
海底を覆い尽くす、白く無機質な岩肌。かつてアオリイカが産卵し、色とりどりの魚が群れた三重県熊野灘の藻場は今、深刻な「磯焼け」に晒されている。これは、沿岸の浅い海でコンブやワカメなどの海藻が著しく減少・消失し、海底が砂漠のようになってしまう現象だ。海水温の上昇やウニ類による食害が引き起こすこの現象。地域の誇りである豊かな漁場が失われることは、単なる環境問題にとどまらず 、水産業に支えられてきた地方自治体の存立を揺るがす死活問題となっている。この静かな危機に対し、デジタル技術を用いた新たな資金循環の形が提示された。株式会社paramitaが運営する環境価値NFTプロジェクト「SINRA(シンラ)」に、2026年3月、三重県南伊勢町のブルーカーボン・クレジットが追加されたのである。地域のNPO法人が泥臭く守り抜いてきた「海の森」を、ブロックチェーン上の資産として可視化し、都市部の個人や企業と結びつける。この取り組みは、地方の自然資本を軸とした新たな地域経済のモデルを提示している。(文=JapanStep編集部)
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