消費者が何かを買うとき、ブラウザでキーワードを入力する従来の方法から変化しつつある。代わりに台頭しているのが、「私におすすめのブランドは?」とAIに直接問いかける行動だ。米調査会社Gartner※によれば 、従来の検索エンジンのトラフィックは数年以内に25%減少するという。※出典:Gartner, 2024年2月
これは企業にとって、AIの推薦リストに自社が選ばれなければ、消費者の選択肢にすら入らない時代が到来したことを意味している。ブラックボックス化されたAIの思考を可視化し、ブランドの現在地を測る新たな指標。今回公開されたレポートは、予測不可能な検索シフトを乗り越え、日本企業が次の成長へと踏み出すための確かな羅針盤となる。(文=JapanStep編集部)
2026年3月13日、AIマーケティングソリューションなどを展開する株式会社Z Creative Partnersは、「AI検索ブランドベンチマークレポート 2026」を公開した。
このレポートは、ChatGPTやGeminiといった主要なAI検索プラットフォームにおいて、各業界のブランドがAIからどのように評価され、推薦されているかを分析したものだ。
同社が独自開発した評価フレームワーク「VSCA™ Score (ビスカスコア)」を用いて、ブランドの「可視性」「感情評価」「競争力」「権威性」という4つの次元を0から100のスコアで定量化している。特に「AIに見えなければ何も始まらない」という原則から、可視性に高い重み付けが行われているのが特徴だ。
(引用元:PR TIMES)
従来行われてきたSEO(検索エンジン最適化)では、検索結果の順位という明確な目標があった。しかし、AI検索時代の新たな最適化手法である「GEO(生成エンジン最適化)」においては、同じ質問をしても回答が変わる再現性の低さや、推薦基準のブラックボックス化が大きな壁となっていた。
代表取締役の村山 穂奈実 氏は、「AI検索の時代には、ブランドがどう『語られているか』という複雑な問題を、誰もが分かる形で可視化する必要がある」と語る。「VSCA™ Score」は、この不確実性を数値化し改善アクションを明確にする。同社の試算では、スコアの改善がAI経由の収益や市場シェアの拡大に直結する傾向が示されており、漠然としたAI対策を具体的な経営戦略へと昇華させている。
(引用元:PR TIMES)
今回のレポート公開が示唆しているのは、AIという未知のアルゴリズムに対する「受け身の姿勢」からの脱却だ。
多くの企業はこれまで「AIに自社がどう認識されているか」を知る術を持たず、手探りの状態でデジタルマーケティングに取り組んできた。しかし、自社の立ち位置が客観的なスコアとして可視化された今、企業は現状を嘆くフェーズを終え「次にどう動くべきか」という具体的なアクションプランを練る段階へと移行できる。
例えば、信頼性のスコアが低ければ公式情報の発信を強化する、感情評価に課題があれば顧客とのコミュニケーションを見直すといった具合だ。
レポートという形で世の中の現状が取りまとめられたことは、日本企業が自らの現在地を正しく認識し、次なるステップへ向けて発想を飛躍させるための「起点」となるだろう。これからの時代、新しい技術を恐れるのではなく、その仕組みを紐解き自社の成長エンジンとして組み込む姿勢こそが求められる。
AI検索が購買の入口となる時代において、自社の魅力をAIに正しく伝え、消費者に届ける技術は、今後のビジネスの生命線となる可能性が高い。不透明なデジタル社会の足元を定量的なデータで強固に固め直し、明確な戦略を描くこと。このレポートが提示する新たな指標は、日本企業がグローバルな競争環境の中で再び力強く前進するための起爆剤となるはずだ。