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2026.09.07

稲作脱炭素へ。デジタル通貨で農家へ還元

地球温暖化の要因として、世界的に削減が急務とされる水田由来のメタンガス。その有力な対策として、節水と温室効果ガスの抑制を両立する「AWD農法」への期待が高まっている。しかし、グローバルサウスの小規模農家にとって、厳密な水管理にかかる手間や、環境負荷の低減が直接的な収入増につながらない構造は、新たな農法の定着を阻む大きな壁となってきたのが実情だ。環境対策を現場の負担にせず、いかに経済的メリットへと結びつけるかは、農業分野における脱炭素推進の共通課題となっている。
こうした環境負荷の低減と農家所得の向上を両立すべく、水管理DXとブロックチェーンを融合させた新たなアプローチが動き出した。2026年6月、ソラミツCBDC株式会社と株式会社両備システムズが提案するバングラデシュでの実証事業が、東京都の「グローバルサウスのGX促進プロジェクト」に採択された。AIによる水位判定とデジタル通貨による環境価値の還元を組み合わせ、2028年3月にかけて実証が進められる。日本のデジタル技術が、途上国の脱炭素と経済発展を同時に支えるモデルを形作ろうとしている。(文=JapanStep編集部)

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AI水管理とブロックチェーン。バングラデシュで挑む農法改革

ソラミツCBDCを代表申請者、両備システムズを共同申請者とする本事業は、バングラデシュの稲作においてAWD農法の普及拡大と、創出された環境価値をデジタル通貨で農家へ直接還元する仕組みの構築を目指すものだ。


(引用元:PR TIMES

本取り組みの第一の柱は、日本の先端技術を活かした水管理の省力化と高精度化である。水田に設置した水位計の画像をAIで解析して適切な水位を自動判定し、必要に応じて水門操作を通知。手間のかかる水管理の負担を軽減し、水を満たす状態と干す状態を交互に繰り返すAWD農法の確実な実践を支援する。

第二の柱として、温室効果ガスの排出削減量を算定するMRV(Measurement, Reporting and Verification:測定・報告・検証)の負荷軽減に取り組む。現地の水田ごとにガスを直接計測するのではなく、水管理や土壌、気象データを活用したモデルベースの手法を検証し、排出削減量の把握にかかる労力を大幅に抑える設計だ。

そして第三の柱が、創出されたカーボンクレジットなどの環境価値をブロックチェーン技術によるデジタル通貨で農家へ還元する仕組みである。従来の現金での還元における透明性・確実性の担保の難しさや、既存の決済手段における手数料の課題を解消することで、削減実績に応じた対価を確実に参加農家の手元へ届ける環境の整備を目指す。


(引用元:PR TIMES

環境対策を「稼ぐ力」へ。グローバルサウスが示すGXの理想形

バングラデシュで始まった今回の実証が示唆するのは、新興国の気候変動対策において「環境保全」と「生活者の経済的メリット」を不可分なものとして統合する重要性である。

途上国の小規模農家に対し、理念や義務感だけで新たな農法への転換を求めても、長期的な定着は望みにくい。しかし、水管理の負担をAIで減らし、削減したメタンガスによって創出された環境価値がデジタル通貨として直接収入に反映される仕組みがあれば、脱炭素への取り組みそのものが農家の「稼ぐ力」へと直結する。環境価値の還元が、自発的な行動変容を促すインセンティブとして機能するのだ。

また、本事業は岡山の総合IT企業である両備システムズが持つ現場実装力と、ソラミツCBDCのフィンテック基盤が融合した産物でもある。これは、地方で培われたSIerの技術と先端のブロックチェーン技術が結びつくことで、日本の民間企業がグローバルサウスの構造的課題にアプローチできる確かな道筋を提示しているといえる。

持続可能な社会づくりは、先端技術を現地の生活者の利益へといかに還元できるかにかかっている。ソラミツCBDCと両備システムズが提示した農業GXモデルは、環境負荷の低減と貧困の解消を同時に果たすための重要な一手となるだろう。

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