生成AIの波がビジネスの現場に押し寄せる中、多くの企業がこぞって最新ツールを導入し、社内研修を実施している。しかし熱狂の裏側で、ひそかに広がっているのは「せっかく研修をやったのに、結局誰も使っていない」という現場からの、静かな失望ではないか。
新しい道具を配り、取扱説明書を読ませるだけで、組織の生産性が劇的に上がるわけではない。特にクリエイティブな思考が求められる広報や広告の現場において、AIを「知っている」ことと「使いこなす」ことの間には、巨大な溝が存在する。テクノロジーを知識として消費するのではなく、日々の実務に定着させるための「真の教育」とはどのようなものだろうか。(文=JapanStep編集部)
2026年4月28日、AIを活用したクリエイティブ制作などを手掛ける株式会社AIrkaizは、広報や広告・映像制作業界向けに提供している「生成AIデザイナー育成研修」に関連し、企業がAI研修を導入しても使われない理由とその解決策を公開した。
(引用元:PR TIMES)
同社が指摘する「使われない理由」は極めて明快だ。今ある多くのAI研修が、「AIとは何か」「どんなツールがあるか」という機能説明や座学に終始しており、受講者が「自社のどの業務で、どう使うべきか」という具体的なイメージを持てないまま終わっているためである。

(引用元:PR TIMES)
特に画像や動画の生成AIは、テキスト入力の微妙なニュアンスや修正の指示、出力結果の見極めなど、実際に手を動かして試行錯誤する中でしか身につかない感覚が多い。そのため、一般的な知識だけを教えられても、現場の担当者は「学んだけれど使いどころが分からない」状態に陥り、翌週には元の作業手順に戻ってしまうケースが後を絶たないという。さらに、研修の講師自身がAIを実務で使い込んでいる現役のクリエイターでない場合、品質管理やクライアント対応といった現場特有のリアルな運用ノウハウが伝わらず、研修と実務の距離がますます遠のいてしまう。
この「使われないAI」という課題が示しているのは、日本企業におけるテクノロジー教育の根本的なアプローチを見直す時期が来ているという事実だ。
新しいシステムやツールを導入する際、企業はつい「ツールの機能」を教えることに注力してしまう。しかし、本当に必要なのは機能説明ではなく、「既存の業務プロセスの中に、そのツールをどう組み込むか」という具体的なデザインである。
(引用元:PR TIMES)
AIrkaizが提供する研修では、この点に重きを置いている。現在も第一線で企業の広告制作をAIで行っている同社が、一方的な講義ではなく、受講者自身が手を動かして画像や動画を生成し、構成を練り、プロンプト(指示語)を修正するワークを中心とした実践型のプログラムを提供している。自社の業務に近いテーマで実際に失敗と改善を繰り返すことで、受講者は初めて「これは明日の仕事から使える」という手応えをつかむことができる。
企業にとって、AIツールの導入はゴールではなくスタートラインに過ぎない。「導入」を「定着」へと変えるためには、現場の痛みを理解し、実務に直結したトレーニングを繰り返すことが不可欠となる。
知識を詰め込むだけの表面的な研修から脱却し、現場の従業員が自ら手を動かしてトライアンドエラーを繰り返す実学の場を社内に構築すること。最新のテクノロジーを「特別な魔法」としてではなく、「日常の頼もしい道具」として現場に馴染ませるこの地道な教育プロセスこそが、日本企業の生産性を底上げし、次なる成長への確かな足がかりとなっていくはずだ。