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2026.07.02

「使えるAI」を証明せよ。実務力の可視化

生成AIの導入が進む日本企業だが、現場では「AIを使える」ことと「仕事で成果を出せる」ことの間に深い溝が生じている。基本的な文章生成はできても、自らの業務プロセスに上手く組み込めず、結局は人間の手作業にとどまるケースは多い。AIを単なる便利な道具から実務を担う相棒へと昇華させるには、現場の文脈に即した「具体的な実行力」が不可欠だ。

こうした中、属人的になりがちなAI活用スキルを職種ごとに可視化し、客観的に証明する新たな制度が動き出した。個人のスキル証明というアプローチが、停滞する日本の労働生産性にどのような突破口をもたらすのだろうか。(文=JapanStep編集部)

108の実務課題で測る「真のAI活用力」

生成AI関連の教育コンテンツ開発やオンラインスクールの運営を手掛ける株式会社Librexは、Geminiを活用した「職種・部門別スキル証明課題」の提供を開始した。これは、単なるツールの操作理解を超え、現場で成果につながるAI活用力を実践課題を通じて習得し、証明できる新制度だ。

(引用元:PR TIMES

この課題の最大の特徴は、事務、人事、企画、営業、マーケティング、開発、カスタマーサクセス、リーダー・管理職、経営者という9つの領域ごとに各12個、全108の実務課題が設定されている点にある。

例えば営業職であれば「競合分析を活用した商談準備資料作成」、開発職であれば「未知の技術のAIクイックリサーチ」といったように、各部門で日常的に発生するリアルなタスクが題材となっている。

(引用元:PR TIMES

本制度が重視しているのは、「何を目的とするのか」「出力結果を実務で使える形に整えられるか」といった業務全体を俯瞰する設計視点だ。Geminiの出力をそのまま鵜呑みにするのではなく、利用者が「確認、修正、再指示、取捨選択」を繰り返し、人の判断を加えて完成度を高めていくプロセスが評価の対象となる。

受講者は課題にチャレンジして成果物を提出し、基準を満たせばスキル証明として活用できる。AIの知識を学ぶ段階から、実際の業務に落とし込み、周囲に説明できるレベルの「使える力」として定着させるための実践的な仕組みとなっている。

スキルの「証明」が引き出す、日本再興の原動力

AIのスキルが客観的に「証明」されるようになることは、日本のビジネスシーンにおいて非常に大きな意味を持つ。

現在、多くの企業がAI人材の育成や採用に注力しているが、「どの程度AIを使いこなせるのか」を測る明確な共通基準が存在しなかった。しかし、職種に特化した形でスキルが可視化されれば、企業は個人の能力を正確に評価し、適材適所の配置ができるようになる。また、働く個人にとっても、自身のAI活用力を成果物ベースで示せることは、社内評価の向上やキャリア形成において強力な武器となるだろう。

さらに重要なのは、この取り組みが現場主導の「業務改革」を促す点だ。AIの導入が経営層からのトップダウンにとどまっている間は、組織の劇的な変化は望めない。しかし、営業や人事、企画といった現場の最前線にいる社員一人ひとりが、自らの業務に合わせてAIを使いこなし、判断を加える力を身につければ、日々の小さな効率化が積み重なり、やがて巨大な生産性の向上へとつながっていく。人間とAIがそれぞれの強みを活かして実務を遂行する「共創」の体制が、現場レベルから構築されるのだ。

これは、リソース不足に悩む地方の中小企業が、大企業との生産性の壁を超えるための強力な手段にもなりうる。限られた人員であっても、高度なAI活用スキルを持つ人材が社内にいれば、チーム全体のパフォーマンスを飛躍的に引き上げることができるからだ。

AIの実行力を証明し、現場の知恵とテクノロジーを融合させる挑戦。それらを促す新たな基準の誕生は、日本企業が再び世界市場へとステップアップするための確かな原動力となっていくはずだ。