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2026.09.03

AI時代に問う「人間教育」。情熱の実践

予測困難で正解のない時代を迎え、教育現場には大きな変革が求められている。生成AIが膨大な知識を瞬時に処理する今、人間だからこそ発揮できる「主体的な意志」や「情熱」の価値がかつてなく高まっている。学校教育をいかにして実社会と結びつけ、社会的な価値を創造する若者を育てるのか。教育者たちが集い、次世代の探究学習と起業家教育のあり方を語り合う実践的なプログラムが始動した。(文=JapanStep編集部)

「調べる」から「実践」へ。先タン2026の全貌

2026年7月、株式会社3inは「先タン(先生のための探究学習・起業家教育体験プログラム)」の2026年プログラムを開始したと発表した。学校などの教育現場を実社会と接続し、地域全体を学生の探究学習のフィールドとすることで、「教育の成果を社会的価値に結ぶ実践」を語り合う場である。

(引用元:PR TIMES

本プログラムは同社が主催し、三菱みらい育成財団の助成、山口大学教育学部の共催、ならびに山口県と山口県教育委員会の後援を受けて幅広く展開されている。高校の教員を主な対象としながら、小中学校や大学の教員、教育を志す学生、さらに一般企業や行政関係者まで幅広いステークホルダーが参加する。教育を軸に地域の枠組みを超えたコミュニティを形成するのが大きな狙いだ。

(引用元:PR TIMES

プログラムは年間4回にわたり、対面とオンラインを組み合わせて実施される。7月25日に開催された第1回目のキックオフプログラムでは、AI時代の人間証明を目的としたプロジェクトを手掛けた牧野友衛氏らが登壇し、AI時代における探究学習の意義を議論した。第2回以降も、武蔵野大学の伊藤羊一氏や哲学者の苫野一徳氏など、各分野のトップランナーが登壇。探究学習や起業家教育を「調べ学習」で終わらせず、事業アイデアとして実践化する可能性や、学習成果をどう評価して本質的な教育へとつなげるかについて、深い議論が展開される予定だ。
さらに、参加者の希望に応じて、起業家教育を実施する上での個別サポートもオンラインで提供される。第一線の先駆者たちとの対話を通じ、教育者自身が情熱をもって、新たな教育の実践へと踏み出すための基盤が用意されている。

地方の教育が未来を拓く。AI時代のまちづくり

今回のプログラムの意義は、AI時代における「地方の教育」が果たす役割の重要性を示すとともに、教育が「まちづくり」「ひとづくり」などの社会の価値に直結するという事実を明らかにした点にある。
現在、多くの地方都市では若者の流出が進み、地域社会の維持が困難になりつつある。この課題に対し、高校での「探究学習」の必修化は一つの転機となった。しかし現場の教員には、正解のない課題解決学習をどう指導すべきかという戸惑いもある。学生の仮説を実社会で試し、協力者を巻き込んで形にするには、学校という閉じた空間の中だけでは限界がある。

(引用元:PR TIMES

だからこそ、教育者と地域の企業、行政が交わる場が不可欠なのだ。地域の大人たちが学生の挑戦を受け入れ、実社会の知見を提供する。この有機的な統合によって、若者の探究心は単なる「学習」から、地域に価値をもたらす「アクション」へと昇華する。大都市へ出ていく直前の若者たちが、自らの足で土地の課題に向き合い、大人たちと共に解決に挑む経験は、彼らの心に「市民としての誇り」を育むだろう。
そして、このプロセスを牽引する力こそが、人間にしか持てない「情熱」である。AIがいかに進化しようとも、自らテーマを設定し、困難な課題に向けて他者を巻き込みながら試行錯誤を繰り返す「主体的意志」を生み出すことはできない。地方から始まるこの人間教育の実践は、次世代のイノベーターを育み、日本全体をより創造的で力強い社会へと進化させていく一手となるはずだ。