スマートフォンの画面に流れるデジタル広告。その一方的な情報発信だけでは、人の心を動かすことは難しくなりつつある。特に小中学生をはじめとする若い世代にとって、デジタル空間は単に情報を眺める場所ではなく、仲間と集い、アバターを通じて自分らしさを表現する「没入型の居場所」へと変化してきた。ブランドのメッセージを押し付けるのではなく、いかに彼らの日常に溶け込み、自然な好意を育めるかが、企業の未来を左右する問いとなっている。
こうした変化に対し、カルチャーを牽引してきたセレクトショップが新たな一歩を踏み出した。2026年8月7日、株式会社ビームスは世界最大級のゲームプラットフォーム「Roblox」において、同社初となるオリジナルゲーム「マネキンから服を集めろ!」を公開した。株式会社WAKAとの共創により、洋服を選ぶ楽しさをゲーム体験へと再解釈。「ブランドと遊ぶ体験」を通じて次世代と結びつく新たなアプローチが、ゲーム空間の中で幕を開けた。(文=JapanStep編集部)
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(引用元:PR TIMES)
ビームスが公開した「マネキンから服を集めろ!」(英字サブタイトル:STEAL THE CLOTHES)は、月間約3.8億人が利用するRoblox上で展開されるオリジナルゲームだ。
2026年に創業50周年を迎えた同社は、「Ready, Happy, Go!! 楽しいまま、世界へ。」を掲げ、ゲーム空間を「未来の顧客と出会う舞台」と位置づけた。ゲーム制作には、Roblox上の開発に強みを持つWAKAが参画。企画立案からゲームデザイン、ワールド制作まで両社で推進し、BEAMSの遊び心をゲーム体験へ落とし込んだ。
(引用元:PR TIMES)
特徴的なのは、「BEAMSを知ってもらう」のではなく「BEAMSと遊んでもらう」ことを掲げたゲームデザインだ。プレイヤーは広大な街を探索し、マネキンからファッションスタイリングを集めながら自分だけの拠点を完成させていく。洋服を選ぶ際の「見つける」「集める」「組み合わせる」という楽しさを、探索や収集の仕組みへと融合させた形だ。
(引用元:PR TIMES)
企業のバーチャル進出では、店舗や商品をそのまま並べるだけのPRにとどまるケースも少なくない。それに対し本作では、プレイヤーが自発的に没入できるゲームとしての面白さを重視している。ゲーム内にはBEAMSならではの遊び心を散りばめた独自の建造物やロケーションが配置されており、ゲームを純粋に楽しむ体験そのものが、BEAMSの世界観に触れるプロセスとして設計されている。
(引用元:PR TIMES)
ビームスの挑戦が示唆するのは、企業と顧客の接点が「広告や店舗による認知」から「ゲーム空間を舞台にした体験の共有」へと進化し始めているという事実だ。
Z世代やα世代にとって、Robloxは単なる娯楽にとどまらず、友人と交流し、自己表現を楽しむ生活空間そのものとなっている。そうした空間に対し、大人の論理で「服を買わせる」ための宣伝を持ち込んでも、受け入れられることは難しい。その点、ビームスは商業的なアピールを前面に出さず、ゲームとしての面白さを担保した上で、洋服を選ぶワクワク感そのものをプレイヤーに提供している。この体験は、幼少期から自然にブランドへ親しみを持つ土台を形成することに繋がるだろう。
また、このアプローチはビームスが50年間にわたり店舗で実践してきた「カルチャーと人が出会うコミュニティづくり」の思想とも重なる。リアル店舗を単なる物販の場ではなく、音楽やアートに出会う場として提案してきたのと同様に、バーチャル空間においても「人が集まり遊ぶコミュニティ」を創出している点こそが、同社が貫いてきた姿勢の本質といえる。
目先の購買を急ぐのではなく、遊びを通じて純粋に楽しい時間を次世代と共に分かち合う。ビームスが提示したこの体験型のアプローチは、未来の顧客との自然な絆を育み、持続的な関係性を築くための有効な一手となるはずだ。
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