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2026.09.08

商店街で15年。岡山発スモール起業の解

地方創生や地域おこしに挑む起業家の前に、常に立ちはだかる高い壁がある。都市部で評価されたビジネスモデルをそのまま持ち込もうとするあまり、地域住民との関係性を築けずに孤立してしまうケースが後を絶たないのだ。特に、ミッションが曖昧になりがちな地域おこし協力隊や移住者にとって、教科書的な知識ではなく「地域でいかに信頼を獲得し、事業を継続させるか」という手触りのある知見が不足していることが、活動を停滞させる大きな要因となってきた。
こうした地方起業の壁を乗り越えるべく、現場の実践知を横断的に共有する新たなアプローチが動き出している。2026年6月、株式会社あるやうむは地域おこし協力隊向けの勉強会を開催した。岡山市・奉還町商店街で15年以上にわたり事業を広げてきた株式会社KAMP 代表取締役の北島 琢也 氏が登壇。ゲストハウス運営からWeb3プロジェクトまで、地域資源を活かしたスモールビジネスの実践論を語った。現場の泥臭い知恵を次世代へ受け渡す試みが、地方で挑戦する人々の歩みを力強く支えようとしている。(文=JapanStep編集部)

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スナック通いからWeb3まで。奉還町で15年積み上げた事業づくり


(引用元:PR TIMES

NFTによる地方創生を推進するあるやうむが主催した本勉強会は、地域で活動する協力隊員が抱える課題に対し、第一線の実践者から再現性のある学びを得ることを目的に実施された。講師を務めた北島氏は、岡山駅西口の寂れていた奉還町商店街を「何もないからこそやりやすい」と捉え、ゲストハウス兼カフェ・バーを立ち上げるなど15年以上にわたって地域事業を展開してきた。


(引用元:PR TIMES

北島氏が事業を継続する上で最も重視したのが、地域住民との信頼関係の構築だ。行政の紹介だけに頼るのではなく、地元のスナックや酒場に通い詰めてキーパーソンと出会い、商店街理事などのボランティア活動に長年関わることで、地域内での確かな発言権を築き上げてきた。

また、事業展開においては「都市部の成功モデルをそのまま持ち込まない」ことを徹底し、地元の酒造が持つ蒸留機を活用したクラフトジンの開発など、地域固有の資源から企画を組み立ててきた。その上で「年に1つ新規事業を立ち上げ、勝率6割を維持する」というスモールビジネスのスタイルを確立している。

さらに近年では、Web3技術の導入にも挑戦。地域の商店主向けに1~2年かけて勉強会を開き、ウォレット設定から学んでもらった上で、「World ID」を活用した実証プロジェクトを展開。外国人投資家の資金を商店街の消費や売上の向上に結びつけた。

都市型モデルの移植を脱する。地方創生を支える泥臭い実践知

奉還町での15年の歩みが示唆するのは、地方における事業づくりにおいて「都市部のスマートな手法」ではなく「地域固有の文脈に深く潜り込む姿勢」こそが成否を分けるという点である。

地方での起業や地域おこしは、綺麗なビジネスプランを机上で描くだけでは成立しない。時には地元の酒場に足を運んで人間関係を耕し、時間をかけて地域に受け入れられるプロセスを経て初めて、事業の種が芽吹く土壌が整う。北島氏が示した泥臭いアプローチは、関係構築に悩む多くの移住者にとって現実的な処方箋となるだろう。

加えて、先端技術を導入する際にも、地域住民への丁寧な理解促進を怠らなかった点は象徴的だ。Web3やNFTを単なる目新しいツールとして押し付けるのではなく、商店主への勉強会を重ねて「地域の売上向上」という実利に結びつける姿勢こそが、デジタル技術を地方に根づかせるための理想的な形といえる。

地方創生の真の活力は、外部から持ち込まれる一過性のモデルではなく、地域に根を張って挑戦を続ける個人の営みから生まれるものである。あるやうむと北島氏が提示した実践知の共有は、地域で新たな道を切り拓こうとする挑戦者たちの確かな指針となるはずだ。

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