
皆さん、こんにちは。JMP(JapanStep Media Project)総合プロデューサーの長谷川浩和です。2023年冬に始動したJMPは、「共創で日本をステップさせる」を理念に掲げ、2026年10月現在、約250の企業・団体の皆さまとともに、さまざまなメディア企画や情報発信を手がけています。
この秋、新たにJMPに参画いただいたのが、福岡を拠点にクラウドやAIなどの先端技術を活用したシステム開発を手がける株式会社Fusicです。同社との共創企画として、新連載「行ってみようよ、世界の展示会!」がスタートします。AIを使えば、世界の技術やビジネスの動向を容易に調べられる時代です。だからこそ、現地に足を運び、そこに集まる企業や人々の熱気を自ら感じることにも、大きな意味があると考えています。
ナビゲーターを務めるのは、仕事だけでなく、プライベートでも世界各地の展示会を訪ね歩くFusicの加藤玲子さん。最新技術やビジネスの動向はもちろん、参加準備、街歩き、現地グルメまで、海外展示会の楽しみ方を幅広く紹介していきます。今回は新連載のプロローグとして、加藤さんが世界の展示会に魅せられた理由と、連載への思いを伺いました。(聞き手・文=JMP総合プロデューサー 長谷川浩和)
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お話を伺ったのは…

株式会社Fusic
セールス&マーケティング本部
マーケティング&コミュニケーション部門 部門長
加藤玲子さん
愛知県豊橋市出身。自動車メーカーでの設計業務を経て、音楽業界でのプロモーション、放送局での経理など、多様な職種を経験。その後、IT業界で約20年にわたりBtoBマーケティングに従事。現在はFusicでマーケティング戦略の立案から施策の実行までを統括する。IT業界での経験を通じて海外展示会や国際カンファレンスに関心を持ち、近年は仕事に加え、プライベートでも各国のイベントを訪問。技術の進化や各国の産業動向を自らの目で確かめながら、展示会を起点に世界を旅する独自のスタイルを楽しんでいる。
長谷川 加藤さん、このたびはJMPにご参画いただき、ありがとうございます。今回の連載は、加藤さんが仕事だけでなく、プライベートでも世界各地の展示会を訪ねていると伺ったことが企画の出発点になりました。まずは、これまでの歩みからお聞かせください。
加藤 こちらこそ、よろしくお願いします。私はIT業界で約20年、主にBtoBマーケティングに携わってきました。以前在籍していた日本SGI(Silicon Graphics)では、スーパーコンピューターや可視化技術など、専門性の高い技術に触れる機会も多くありました。
海外展示会に関心を持ったのも、その頃でした。同僚がSIGGRAPHやスーパーコンピューティング分野の国際会議へ出かけ、帰国後に現地の様子を話してくれるんです。その話が実に楽しそうで、いつか自分も行ってみたいと思うようになりました。
長谷川 ただ、マーケティング担当者という立場では、視察を目的とする海外出張は簡単ではなかったそうですね。
加藤 そうなんです。技術者が専門的な知識を得るために参加するのであれば、会社としても目的が明確です。一方、マーケティング担当者が視察のためだけに海外へ行くとなると、費用対効果を説明するのが難しい。当時は、現地へ行った同僚の報告を聞いて、うらやましく思っていました。
長谷川 当時は憧れの存在だった海外展示会ですが、その後、強く印象に残る出会いがあったそうですね。
加藤 忘れられないのは、10年ほど前に一人でラスベガスを訪れたときのことです。偶然、ベネチアンでBtoBのカンファレンスが開催されていて、会場の一部を見学する機会がありました。それまで日本で見ていた展示会とは、雰囲気がまるで違いました。展示ブースの規模も大きく、来場者を引きつける演出にも工夫が凝らされている。何より印象的だったのは、参加者が会場全体でイベントを楽しんでいるような熱気でした。
長谷川 日本のビジネスセミナーとは、かなり違ったのでしょうね。
加藤 ええ。登壇者の話に会場全体が引き込まれていて、コンサートにも似た一体感がありました。さらに、夜にはライブまで予定されているというんです。技術やビジネスについて学ぶ場でありながら、参加すること自体を楽しめる。展示会やカンファレンスに対する考え方が、それまでと大きく変わりました。技術やビジネスの話を、これほど多くの人が楽しんでいる。その光景が強く印象に残り、海外の展示会をもっと見てみたいと思うようになりました。
長谷川 加藤さんのお話で特に興味深かったのが、海外旅行の行き先を展示会から決めるということです。仕事としての視察とは、また違う楽しみ方ですよね。
加藤 私にとって展示会は、旅の目的を決めるきっかけでもあります。「この国で面白そうな展示会が開かれるなら、その時期に旅行しよう」という考え方ですね。自費で出かける完全なプライベートの旅なのですが、会場に一歩入ると、ブースの見せ方や来場者の動きをつい目で追ってしまう。すっかり「仕事の目」になっているんです(笑)。でも、マーケターとして培ってきた視点があるからこそ、展示会を巡る旅がいっそう面白くなっているのだと思います。展示会があるから、その国へ行く理由が生まれる。マーケターならではの旅の口実かもしれませんね(笑)。
長谷川 展示会を目的に旅を計画するというのは、面白い発想ですね。観光地としては意識していなかった国や地域にも、足を運ぶ理由が生まれます。
加藤 そうですね。できるだけ行ったことのない国を選びたいですし、これから成長しそうな国や、新しい展示会が始まった地域にも興味があります。訪れる展示会は、長く仕事で関わってきたテクノロジー分野が中心です。AIや宇宙などにも関心がありますが、特定の技術だけを追いかけているわけではありません。技術が進化し、新しい製品やサービスが生まれていく過程を見ること自体が好きなんだと思います。

(写真=加藤玲子さん)
長谷川 技術や製品の動向だけでなく、その国がどの産業に力を入れているのかも、展示会から読み取れるわけですね。
加藤 例えば韓国のスタートアップ関連の展示会では、国を挙げて企業の海外展開を支援しようとする姿勢が印象に残っています。海外の展示会にも大規模なパビリオンを設けていますし、韓国国内でも開催都市によって特色があります。企業の技術や製品を見るだけでなく、国や地域がどの分野に力を入れようとしているのかを考える機会にもなります。
Fusicでも海外展開に取り組んでいるので、各国がどの分野に力を入れ、どう世界に売り込もうとしているのかを肌で感じられるのは、私にとって大きな収穫です。旅で得た気づきが、結果的に仕事にも返ってきていると感じます。
長谷川 展示会は、技術や製品の見本市であると同時に、各国の産業戦略を読み解く場でもあるわけですね。各国がどのような産業を育てようとしているのか。企業が何を世界に売り込もうとしているのか。そうした視点で会場を歩くことは、新規事業や海外展開を考えるうえでも参考になりそうです。
長谷川 今はAIを使えば、海外の技術動向や展示会の情報を容易に調べられます。現地に行かずとも多くの情報が得られる時代に、あえて世界の展示会を訪ねる意義は何でしょうか。
加藤 私にとって海外展示会は、知るためというよりも、体感しに行く場所なんです。もちろん情報を得ることも大切ですが、それだけならAIやインターネットでも調べられます。しかし、会場の規模や参加者の反応、その場の空気までは、画面越しには十分に伝わりません。
それに、現地では自分が探していなかったものにも出会えます。メディアで大きく取り上げられていなくても、自分にとっては非常に興味深い技術や製品があるかもしれません。会場を歩き、ふと足を止めたブースで、新しい発想に触れる。そうした偶然の発見も、展示会を訪れる楽しみの一つです。

(写真=加藤玲子さん)
長谷川 私自身、CESを訪れた経験がJMPを立ち上げるきっかけの一つになりました。世界各国の企業が新たな技術や事業の可能性を示す姿を目の当たりにして、日本にもまだ世界へ挑戦できる企業や人材が数多くいるはずだと、改めて考えるようになりました。現地で何を見て、何を感じたのか。その経験が、後の行動につながっていくことは確かにあると思います。
(写真=JMP総合プロデューサー長谷川浩和)
加藤 やはり、一度自分で行ってみることは大きいですよね。その展示会が自分に合うかどうかも含めて、実際に経験して初めて判断できることがあります。
長谷川 現地を訪れたからこそ、自分の言葉で語れることがありますね。そこで受けた刺激が、帰国後の仕事や新しい事業の着想につながることもある。展示会に行く価値は、会期中だけで完結するものではないと思います。
長谷川 一方、海外展示会に関心はあっても、実際に行くとなると、英語や渡航準備、費用などを心配する方は多いと思います。私自身、英語を勉強していますが、海外で自分から積極的に会話することには、まだ難しさを感じています。加藤さんは、そうした不安とどのように向き合ってこられたのでしょうか。
加藤 実は、私も英語が得意というわけではありません。海外展示会に慣れているからといって、言葉の不安がまったくないわけではないんです。ただ、今は翻訳アプリなどを活用すれば、展示ブースの担当者とやり取りできますし、カンファレンスの内容を理解する助けにもなります。
長谷川 かつては語学力が大きな不安要素でしたが、今は翻訳技術を活用することで、現地でのコミュニケーションを補えるようになっているんですね。
加藤 もちろん、英語が話せるに越したことはありません。ただ、言葉への不安だけで海外展示会への参加を諦める必要はないと思います。私自身、それ以上に苦労したのは、現地での時間配分でした。
長谷川 会場の回り方にも、国内の展示会とは違う難しさがあるのでしょうか。
加藤 例えばCESでは、複数の会場が離れた場所にあります。ベネチアンからラスベガス・コンベンション・センターへ移動しようとして、バスなら10〜15分程度だと思っていたら、夕方の渋滞で1時間ほどかかってしまったこともありました。そうなると、予定していた展示やセッションを見られなくなることもあります。日本の展示会と同じ感覚で予定を詰め込むと、移動だけでかなりの時間を使ってしまいます。海外では、会場の広さだけでなく、街全体の距離感まで考えて計画する必要があるんです。


(写真=加藤玲子さん)
長谷川 参加して初めて分かることが、数多くあるわけですね。今回の連載では、展示会の見どころだけでなく、事前登録や宿泊先の選び方、会場間の移動といった実践的な情報も紹介していきたいと考えています。
私自身も初めてCESを訪れた際は、現地に詳しいメンバーの助けを借りながら会場を回りました。一人で渡航するとなれば、不安に感じることも少なくないでしょう。
加藤 そうですね。海外展示会に慣れていない方でも、現地でどう行動すればよいのかを具体的にイメージできるようになればいいなと思います。いきなり大規模な展示会へ行くのが難しければ、アジアの比較的近い国でもいいですし、普段使っているサービスのコミュニティが開催するイベントでもいいと思います。自分の仕事や興味に近いところから始めてみるのも、一つの方法ですね。
長谷川 新連載の第一弾は、米国ラスベガスで毎年開催される世界最大級のテクノロジー見本市「CES」です。次回のCES 2027は2027年1月6〜9日に開催されます。参加を予定されている方にも役立つ内容にしたいですね。
本連載では、一つの展示会を原則全5回で紹介します。展示会の特徴や注目技術に加え、渡航準備、会場の歩き方、開催都市の観光やグルメまで。実際に訪れた経験をもとに、展示会と、その開催地の魅力を多角的にお伝えしていきます。
加藤 CESは、テクノロジーに関わる方なら、一度は足を運んでみてほしい展示会です。遠い未来を想像するというより、数カ月後、あるいは1年後には身近になっているかもしれない技術や製品に触れられる。そんな面白さがあります。

(写真=加藤玲子さん)
例えば、AIを活用した身近な製品や、暮らしの中に入り始めたロボットなど、会場には実際に見て試せる展示が数多くあります。技術そのものだけでなく、企業がその魅力をどのように伝えようとしているのかも、見どころですね。そして、ラスベガスには展示会以外にも楽しみがたくさんあります。ショーやレストランも含めて、この街ならではの魅力も紹介できればと思います。
長谷川 今回の取材でも、会場の話と同じくらい、ラスベガスでの過ごし方が盛り上がりましたね(笑)。
(写真=JMP総合プロデューサー長谷川 浩和)
加藤 そうですね(笑)。展示会が目的とはいえ、会場とホテルを往復するだけではもったいないと思うんです。せっかくその国を訪れたのですから、街を歩き、食事を楽しむ時間も大切にしたいですね。
長谷川 海外展示会の記事というと、どうしても最新技術や注目企業の紹介が中心になりがちです。しかし今回は、読者が現地を訪れる場面を具体的に思い描けるような、実用的な連載にもしていきたいと考えています。展示会へ行く予定がない方にも、世界のビジネスや文化に触れる読み物として楽しんでいただきたい。そして、興味を持った方が実際に足を運ぶ際には、記事をもう一度開いて参考にしてもらえたらうれしいですね。
加藤 私も、そういう連載になればと思います。技術に興味がある方はもちろん、これまで海外展示会をあまり意識してこなかった方にも、面白さを知っていただきたいですね。
長谷川 ありがとうございます。JMPでは、企業や団体の皆さんが持つ専門的な知見はもちろん、そこで働く一人ひとりの経験や好奇心も、大切な財産だと考えています。今回の連載も、加藤さんという魅力的な方との出会いから生まれました。こうしたご縁を新しい企画につなげ、ともに育てていけることは、JMPが目指す共創の面白さでもあります。
海外展示会に関心がある方も、これまで訪れる機会がなかった方も、まずは記事を通じて、その魅力に触れていただけたらうれしいです。さあ、加藤さんの案内で、世界の展示会を巡る旅に出かけましょう。最初の目的地は、米国ラスベガスのCESです。
(写真=加藤玲子さん)
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