地方都市が抱える若者の流出や産業の衰退。自治体の予算や人員だけでは、複雑化する社会課題に対処しきれないのが現実だ。この行き詰まりを解消するには、地元企業や大学、金融機関の知恵を結集する開かれた枠組みが欠かせない。長野市で進む、産学官金が連携し生成AIを駆使して新たなビジネスを創出する取り組みから、地方発のイノベーションを社会へ実装するための実践的なアプローチを考察する。(文=JapanStep編集部)
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2026年7月、新産業のエコシステムビルダーであるSUNDRED株式会社は、「NAGANOスマートシティコミッション(NASC)」の事務局運営支援業務を4年連続で受託したと発表した。
(引用元:PR TIMES)
NASCは長野市、長野商工会議所、信州大学工学部、株式会社八十二長野銀行の発起により2021年に設立された。デジタル技術などを活用した地域課題の解決と持続可能なまちづくりを推進する産学官金の連携組織である。同団体の設立趣旨に賛同する地域内外の企業や高等教育機関などが多数参画している。

(引用元:PR TIMES)
SUNDREDは共創の場づくりや実証プロジェクトの推進に尽力してきた。前年度には、スキーレンタルからリフト券販売、タクシー手配までをワンストップで提供する実証実験を実施し、エコシステム形成の強固な土台を築いている。
今年度はこれまでの成果を基盤に、事業化や持続可能なビジネス創出を見据えた新たな支援プログラムを展開する。大きな特徴は、複数年での伴走支援により持続可能なビジネスへの接続を強化する「2か年支援プラン」の新設だ。
(引用元:PR TIMES)
さらに、ワーキンググループでは生成AIを活用した事業計画の策定や、企業マッチングを実施する。長野市が運営する起業支援事業と連携して資金調達の機会を設けるなど、多様な主体が継続的に連携し、新たな産業や事業を創出するための環境を力強く整えていく構えだ。
地方創生を掲げてコンソーシアムや協議会を立ち上げる自治体は数多く存在するが、実証実験の段階で予算が尽き、一過性のイベントで終わってしまうケースは少なくない。その最大の原因は、アイデアを具体的な事業として自走させるための「持続的な仕組み」が欠如している点にある。
長野市におけるこの取り組みが特筆すべきなのは、実証実験を“やりっぱなし”にせず、2年間の伴走支援プランを新設するなど、「事業化」に執着した骨太な構造を持っている点だ。さらに生成AIを活用した事業計画の策定をプログラムに組み込むことで、リソースの限られた地方企業であっても、高度な戦略立案やスピーディーな仮説検証が可能になる。AIが思考の壁打ち相手となり、地域の隠れた資産を新しいビジネスモデルへと変換するプロセスを強力に後押しするのだ。
大学の知見や金融機関の資金調達力を初期段階から巻き込んでいる点も、実務的なエコシステムの設計と言える。行政の号令だけでなく、民間企業やスタートアップ支援施設と積極的に交わり、異業種がフラットに議論できる交流の場が定期的に機能しているからこそ、地域全体に共創の熱量が波及していく。
テクノロジーは、それ単体で地方の過疎化や産業の衰退を救う魔法ではない。AIやデジタルの力を最大限に引き出すためには、多様な主体がフラットにつながり、互いのリソースを掛け合わせる盤石なコミュニティが不可欠だ。長野の地で育まれるオープンイノベーションの土壌は、地方都市が自立し、力強い経済の循環を生み出すためのモデルとなるだろう。地域の熱気をビジネスの形へと昇華させる着実な歩みが、日本全体を活気づける豊かな原動力となりうる。
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